remo [NPO法人記録と表現とメディアのための組織] とは
メディアを通じて「知る・語らう・表現する」3つの視点から、メディア・アートなどの表現行為のほか、"文房具としての映像"の普及、映像をかこむ場づくりなどを実施しています。趣意
我々の祖先は他者とのコミュニケーションをはかるため、ボディーランゲージから言葉・文字などにはじまる情報伝達のための様々な工夫、発明、開発を行ってきました。15世紀の活版印刷の発明で情報はより速く拡散し伝搬する力を増し、電話を代表とする電気通信技術を経て、更にはテレビの誕生により、私達はリアルタイムに膨大な情報を得ることとなりました。現在では映像音響機器、コンピューター、インターネットなどを用いて個人レベルで情報を記録、編集制作、発信することが可能となっています。
しかし、現代生活に溶け込んでいるメディアには一方的に発信される市場開拓を目的としたものが目立ちます。こういったいわゆるマスメディアと呼ばれるものの動向は、本来の人間のコミュニケーションツールとしての『メディア』の機能を狭めているのではないでしょうか。個人とメディアという1対1の関係においては、目的に縛られないより多様でフレキシブルなありようが見られます。そしてそこで発せられる表現には、芸術性や国際性を伴う時代を超えた情報が含まれているかもしれません。
この組織では、特に近年目まぐるしい発展が見られる映像や音を用いた「個人を発信源とする表現」に注目しています。これらは、具体的なメッセージや物語でないことが多く、既存の装置(テレビ、映画館など)では取扱いにくいものであるためにビジネスとしては成立し難い状況にあります。しかし、そのことは「個人を発信源とする表現」に価値がないということを示しているわけではないと考えます。
今後、これらの表現がどのように社会的価値を持つことと成るのか、また人々が個々にメディアを用いる中で本来のコミュニケーションという営みに相応しい動向をみせることとなるのか ー 私達は新たな表現活動のフィールドを開拓するために、改めて『メディア−媒介−』を介した表現を見つめ直し、様々な課題を探りつつ研究・実験・開発・実践の有機的循環を重視した活動を行います。
プロジェクトについて
AHA! [Archive for Human Activities / 人類の営みのためのアーカイブ] (2005〜)
8ミリフィルム・写真・手紙といった "市井の人びとの記録" に着目したアーカイブづくりのプロジェクトです。目下、全国各地の市民団体、大学機関、美術館などと協働しながら、記録と記憶に関するさまざまなメディアづくりに取り組んでいます。始動以来、「時間的/空間的な隔たりを前に、イメージはどのように働くのか」という問いを追究しています。キャッチコピーは「小さな記録の誕生日を祝おう」。
https://aha.ne.jp/
Alternative Media Gathering (2004〜)
市民が主体となり発信するメディアやその手法、また、メディアを用いた新しい学習方法や表現方法の現状を把握するための研究会です。
https://www.remo.or.jp/ja/project/gathering/
ご近所映画クラブ (2009〜)
映像作家ミシェル・ゴンドリー氏設計による、映画をつくるワークショップ・プログラムです。参加者が「企画し」「計画をたて」「撮影をする」の3段階を相談しながら3時間で映画をつくります。専門的な知識や技術がなくてもOK。ムービーカメラを文房具のように手軽に扱いながら、作品を作り出す喜びを、みんなで共有するプログラムです。
https://www.remo.or.jp/ja/project/48/
remo出版レーベル(2023〜)
remoが取り組んでいるプロジェクトの成果を発信し、ひろく共有するための自主出版事業です。本を「つくる」ことと「届ける」こと、そして読書の経験を「分かち合う」こと。全国の書店を媒介(メディア)としながら、これらを一体的に続けるための仕組みづくりを目指しています。レーベル第1弾として、AHA!による企画編集の書籍『わたしは思い出す』を2023年に初版1,000部を発行しました。第2弾は『なぞるとずれる(仮称)』を発行予定です。
https://aha.ne.jp/iremember/
remoscope (2004〜)
remoが考案したリュミエール・ルール【固定カメラ / 無音 /無加工 / 無編集 /ズーム無し/最長1分】に則り撮影された映像を総称する造語です。remoscopeワークショップ は、それぞれの視点で撮られた映像を持ち寄り、上映、談義する...いわば"句会"のような観賞会です。特別な技術は全く必要なく、お初心者、経験者問わず「作品」を創作し、それらを発表し、お互いに鑑賞し合うことができる場です。2005年より子どもからお年寄りまでさまざまな年齢層の人々を対象にワークショップを展開しています。
http://remoscope.net
これまでのプロジェクト
artist pick up (2006〜2013)
現代美術の分野における映像表現に焦点をあて、従来の映像文法を超えた新しい表現を行う国内外のアーティストを紹介。モニターやスクリーンでの上映や空間全体を使ったインスタレーションなど、さまざまなアプローチで展開します。
wallstream (2003〜休止中)
映像表現の一部が「動く壁紙」あるいは「インテリア/エクステリアとしての映像」として、近い将来、広く活用されていくとの予測から、これまでの映像文法を越えた、そのアウトプットにふさわしい表現や手法の構築=事例づくりをおこなうプロジェクトです。
remember 3rd Monday (2003〜休止中)
毎月・第3月曜日、当日持ち込み方式による映像表現のフリー・プレゼンテーションの場です。持ち込まれた作品を鑑賞したのち、作者自身の解説や鑑賞者とのディスカッションの場としても機能しています。完成作品はもちろん、テスト段階の作品を持ち込んでいただきブラッシュアップする場としても活用していただけます。また[remoscope]の持ち込み上映も同時開催しています。